「バンテージ・ポイント」 監督 ピート・トラヴィス  キャスト デニス・クエイド  FFビデオ制作

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大統領暗殺の真相を、8人の目撃者、8つの異なる視点で追ったサスペンス・アクション。主演のシークレットサービスをデニス・クエイドが務めるほか、デニスの同僚役にはテレビドラマ「LOST」主演のマシュー・フォックスが演じる。ほかにも『ラストキング・オブ・スコットランド』でアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィッテカーや『エイリアン2』のシガーニー・ウィーヴァーら一流のスターが名を連ねる。斬新なストーリー展開と8つの視点から導き出される驚がくの結末に息をのむ。

ひとつの事柄が、見る角度により別のものに見えてくる。ある事実を知った後には、同じ出来事がより大きな意味を持っていたことに気づく。まったく無関係と思われる登場人物たちは、そのじつそれぞれが確固たる存在理由を持って配置されており、すべてが明らかになる最後の瞬間には、大きな感動と満足感が訪れる形になっている。

まさに神の采配、よくできた脚本だ。私は終わった後、思い出せる限りの細部を検証したが、憎らしいほど整合性が取れており、アラを見つけることはできなかった。

また、政治映画として特筆すべきは、現在アメリカが遂行中の対テロ戦争の正体が、"基軸通貨としてのドル防衛戦争"であることを何気なく伝えている点(デモ群集のプラカードに注目)。同時にアメリカの大統領についても、決して最高権力者ではなく、ある種の傀儡であると、当の大統領の口を借りて明言している。

『バンテージ・ポイント』だが、"ひとつの物事を多視点で繰り返すサスペンス"という点において、黒澤明監督の『羅生門』(50年、日)にヒントを得ている。最近、日本ではクロサワ映画のリメイクが話題になっているが、本来古典とはこのような形で蘇らせてこそ、ではないだろうか。リメイクばかりで進歩がないといわれる現在のアメリカ映画界でさえ、こうした形でしっかり過去の文化遺産を発展させた凄い作品を出してくる。大いに見習うべきではないか。

実によく構成された作品。事件を遡って多くの視点から解明していく、そして事実にあたる。脚本の工夫に脱帽。

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