「県庁の星」 監督 西谷弘 キャスト 織田裕二 柴咲コウ FFビデオ制作

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県庁の星枠.jpg「白い巨塔」など数々のヒットTVドラマを手掛けてきた西谷弘の劇場映画デビュー作は、キャリア官僚とパート店員が衝突を繰り返しながらも協力して三流スーパーの改革に乗り出す人間ドラマ。出世欲丸出しの官僚に織田裕二、彼の教育係で現場主義の店員に柴咲コウがふんし、コミカルな掛け合いを披露する。『踊る大捜査線』シリーズではノンキャリアの熱血刑事を演じた織田が、融通の利かない公務員を好演して新境地を開拓している。

県庁というと全国組織と市町村の中間に位置する行政組織。住民相手ではなくかといって国の政策方針を出せるわけでもない。限られた県内の自治を行っています。国の方針に基づく行政ですが、他人が決めたことを覚えて市町村におろしていくのは間違いがあってはならない重要な仕事だと思います。

私はなぜか名古屋のサルサ仲間から県庁に勤めていると思われていました。理由は分かりませんが毎週名古屋に行くとか、よく東京に行くとか、休みを取りやすい職場だと思われたのかもしれません。

マニュアル。確かに新人教育用とコンプラ違反をなくすには必要です。何か障害や問題が起きたとき、見るのはマニュアルの手順どおりであったかどうかという点。普段は見ていなくても、コンブら違反精査のときは一字一句見てここの手順を漏らしている、だからコンブら違反だとなります。そして処分されます。だから公務員はマニュアルをよく読んでいるのです。最近は民間でもコンブら違反に厳しく、社員は余分なことは一切しなくなってきていると思います。無駄なことをして問題になるとコンプラ違反に問われるからです。そんな会社が社員のやる気をなくして衰退していくのは当然のことですけど。

民間は利益を出すことが目的、公務員は予算を使い切ることが目的。まったく目的が違います。いいかえると民間は儲けること、公務員は使うこと。住む世界が違いますね。

県庁さんと店長さんは紛らわしいです。県庁さんと清水店長とすべきでしたね。

エスプレッソを無料で飲めるラウンジについては、県にこんな所はないだろうと感じました。議員会館のみとか限られた場所のように思います。係長以上がはいれたのかもしれません。県庁の食堂は一般に解放されていてよくランチに行きました。安くてボリュームがありますね。

織田裕二の演技は自信たっぷりで役になりきっています。多分主役がこうだと他のキャストもそれぞれの役柄に気合が入ると思いました。シナリオをもらってから1カ月以上情報収集したり、資料を見たり、話を聞いたり、役作りをしているのでしょうね。セリフなんかは全部覚えてさらに心情を乗せる。間合いや立ち位置まで意識して準備しているような気がします。素晴らしい役者。

県庁の改革は無理だとしても、最後に少し変わり始めたというエスプレッソ一杯100円が県庁の姿を現していると思います。

知事はどうして前向きに検討すると言っているのに、議長は提案書をごみ箱に捨てるのか。これは深い意味があると思います。前向きとは相手に対する方便で何も検討しないとストーリーの中で行っています。制度の中で暮らしいてると確かに改善すべきことはいろいろ出てきますが、それを変えていくことはほとんど不可能に近いからです。

たとえば東京に長く住んでいた県議会議員がいて、県議会に高齢者対策や交通事故のない社会を実現するために公共交通を主体にした街づくりを進める議案を出したとします。しかし、県内では駐車場を確保するために田んぼの真ん中に公共施設を作ったり、病院を建てたり、大型スーパーを作っています。当然それが良かれと思って進めてきたのですから、いまさら方向転換の議案を出されても賛成する人はいないでしょう。

そこなんです。地方では改革しようとすると民主主義の限界、多数決が必ず高いハードルになります。利害関係者や今まで進めてきた実績を否定されるような議案に賛成するわけがありません。つまり賛同してすでに進めているもの、自分の成果の否定、過去の方針を継続するものを変えることはほとんどできないということです。皆さんが良かれと思って進めて来たことを状況が変わったと言って否定するのですから、よほどの人格者でないと賛成されないのは当たり前です。尤も議員さんは弁が立ちますから何とでもいい訳できるでしょうが、住民の中にも堅い人がみえますからなかなか納得させられない可能性もあります。皆さん選挙がありますからいい訳のようなリスクは冒したくない。自分の首をかけないと過去の実績の否定などできませんから。

だから、提案は前向きに検討するものの民主主義の限界が邪魔をして廃案になると言っていると思います。提案者の気持ちもわかりますし、民主主義の限界説もわかります。だからゴミ箱に捨てるしかないのです。時間の無駄ですから。

結果として県庁の改革は進みません。何年たっても国の方針を受け継いで市町村におろす組織。議会の仕組みが民主主義の限界そのものですから、国から改革案を県に下すしかないと思います。そうすれば県議会の民主主義の限界を取り払えるからです。

私は東京と地方県に半分ずつ8年間住んでいます。その前は東京に10年間。だから東京と地方県を客観的に比較してみることができます。県のいいところと問題点もわかります。しかし、改善の提案はできますが実現するとは思えません。それは県が進めてきた方針を180度転換するものだからです。提案書をごみ箱に捨てなくてもいいように民主主義の限界を乗り越える方法を考えなくてはなりません。

民主主義の限界を打破しなければならないと考えておられる方、あるいは組織などから映画制作資金提供があれば脚本執筆に取り掛かるんですけどね。映画一本で県民の意識が変わるとは思えませんが、続けていく中できっと民主主義の限界について考える機会が増え、メンツを捨てて改革に理解を示す人格者が増えるのではないでしょうか。

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