「グラン・トリノ」 監督・製作・キャスト: クリント・イーストウッド FFビデオ制作

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グラントリノ1枠.jpg『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務め た人間ドラマ。朝鮮戦争従軍経験を持つ気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤(かっとう)す る姿を描く。イーストウッド演じる主人公と友情を育む少年タオにふんしたビー・ヴァン、彼の姉役のアニー・ハーなどほとんど無名の役者を起用。アメリカに 暮らす少数民族を温かなまなざしで見つめた物語が胸を打つ。(シネマトゥディ)

妻に先立たれて息子たちとも疎遠な元軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)は自動車工を引退して一人ぼっちの孤独に生活を送っています。

60歳になるとこのような設定も他人事とは思えません。FFビデオの仕事の傍ら東京では食事の後づけ、風呂の浴槽洗いを仕事にもらい、これからは料理についても教えてもらうと思いますが、まだまだ料理はさせてもらえないのです。とにかく自分一人でも生活できるように家事、掃除、洗濯を覚えなくてはなりません。自分でやって初めて女房の苦労とありがたさが身にしみるわけです。サラリーマンの時は自分が稼いでいると考えていましたが、半分は女房の力があったことはまぎれのない事実ですね。

ある 日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになり、それをきっかけで隣の家との付き合いが始まります。中国系移民の少年タオと知り合います。

主人公はアメ車、息子はトヨタ車のセールスをしているという設定から仲が悪いと分かります。タイトルに車のグラン・トリノという名前を付けるところもいいと思います。

チンピラに絡まれているところを助けたり、床屋へ連れて行って初対面の人との話し方を教えたり、就職の世話をしたり、隣の家のパーティに誘われて楽しい時間を過ごしたり。友情が芽生えていきます。

一方、自分の子供の家族とは仲が悪く、身勝手な嫁や孫に手を焼いています。これは、多分同居していないからだと思います。日本でも昔のように親子が同居していたら助け合ったり、話し合ったりして家族の共同体として生きていきます。そこには家族のきずなが生まれます。同居していないと家族の絆は生まれにくいのかもしれません。年に数回顔を出すのは絆ではなく、ごあいさつ。同居していると365日家族を守ること、家族と助け合うこと、コミュニケーションをとる、笑う、怒る、食事する、行事を行い伝える、先祖の話も聞かせ、共同で作業することになります。これが絆というのかもしれません。これは、自分が母親と同居している経験から言えることですね。

あるとき、タオの姉がチンピラに痛めつけられて帰ってきます。暴行されている姿を見てチンピラをやっつけることを考えます。タオは復讐してやると言いますが、地下室に押し込めて自分一人でチンピラ退治に向かいます。主人公は健康診断の結果と時々吐血していて寿命が短いことを知っています。それらを勘案して主人公はチンピラ退治の方法をじっくり計画します。

結果はチンピラ達を家の前に呼び出して丸腰でたばこを吸います。近所の人が見ていることを確認してライターを取ろうとして瞬間チンピラ達のピストルが火を吹いて主人公は即死します。しかし、近所の人が目撃者となりチンピラ達は全員刑務所に長期拘留されます。

余命が短いことが分かった時、人間は確かに誰かの役に立ちたいと思います。この命をささげて人を助けられるのなら喜んで命を投げ出す。余命わずかと知らされた人の理想的な死なのかもしれません。年寄りは若い人を育てたいという気持ちがよく出ています。家族に限らず隣人であっても友達のために命を使います。

遺言書には皆が欲しがるグラン・トリノを友人のタオに譲ると書いてあります。人は亡くなった時お金ではなくモノを残すのはなぜなのでしょう。お金だと残した人の意思に関係なく(投資して無くしたり、詐欺にあったり)使われてしまいますが、物で残すとそのものを大切にしてくれますし、残してくれた人のことも思い出してくれます。

少数民族を取り上げていることもいいと思います。どこの国でもいろんな人が住んでいますからその人たちに光を当てる姿勢も好感が持てます。人類みな兄弟ですね。

クリントイーストウッドの映画はいつも人種や男女、老人と若者の対立軸を通した葛藤を上手く描いています。老人は自分が演じるからかもしれませんが。そして悪人退治のストーリーが貫かれています。映画を観る人々に命の使い方、正義感の素晴らしさを埋め込んでいて最高レベルの映画だと思います。

主人公は非常に気高い志を持っている古き良きアメリカ人。荒んだ国を元の住みよい国に戻したいと言う意思の表れだと思います。映画を作るときはクリントイーストウッドをお手本にしたいと思います。

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