「愛を読む人」 監督: スティーヴン・ダルドリー キャスト ケイト・ウィンスレット FFビデオ制作

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幼いころに恋に落ち、数年後に劇的な再会を果たした男女が、本の朗読を通じて愛を確かめ合うラブストーリー。ベルンハルト・シュリンクのベストセラー「朗読者」を原案に、『めぐりあう時間たち』の名匠スティーヴン・ダルドリーが映像化。戦時中の罪に問われ、無期懲役となったヒロインを『タイタニック』のケイト・ウィンスレット、彼女に献身的な愛をささげる男をレイフ・ファインズが好演。物語の朗読を吹き込んだテープに託された無償の愛に打ち震える。(yahoo映画)

まず、この映画は照明が完ぺきで美しく撮影されています。とにかく画面全体が発色のよい映像美です。前回早稲田松竹で観た時はそれほど感じませんでしたが、良く見ると素晴らしい映像です。

15歳のマイケル・バーグは、学校からの雨降りの帰宅途中に体調不良でゲロしているところを助けてくれた21歳年上のハンナ・シュミッツに恋をします。年上とはいえ美人で女性の魅力があります。

3ヶ月後、猩紅熱から回復したマイケルは、お礼に花束を持って一人暮らしのハンナのボロアパートを訪ねます。翌日もまた彼女の部屋に向かってしまいます。ハンナに命じられて石炭を運びますが煤だらけになり、ハンナに勧められて風呂に入ります。ボロいバスタブから出る彼をハンナが大きなバスタオルで抱きしめますが、彼女は裸になっています。そして愛人関係になります。マイケルはハンナに惹かれて通い、ハンナはそれに応えます。21歳の年の差でも愛人関係になれるのですね。

男と女が知り合うきっかけはひょんなこと、少し相手に気が湧いて、相手も少し勇気があると直ぐに男と女は愛の炎を燃え上がらせるという物語。実際世間でもこのようなささいなきっかけを一足踏み込めば、男と女の間になっているのかもしれません。そういう機会は決して多くはないでしょうが、少なくもないと思います。もっとも男女とも独身どうしでないと困りますけど。

そして、マイケルは次の日も学校が終わると毎日ハンナの部屋へと走ります。ハンナはその時間に路面電車の車掌の仕事を終えて帰ってきます。激しく身体を求め合う二人。愛する男女のリアリティがあります。この表現は素晴らしく21歳年上の女性との少し変わった愛人関係がよく描けていると思います。女性はもう肌の張りがなくなり始めていますが、二人の愛は燃え上がります。sexの演出もいいと思います。二人の心と身体の一体感を演出しています。

マイケルは家の食事途中でハンナとの愛の時間を思い出してニヤつきます。食卓と彼女のアパートでのSEXがフラッシュバックします。

どうして女は若い男が好きなのか、それは男も同じこと。相手は若い方がいい、若い硬い体を抱きしめて目をつむると自分も相手と同じ年齢にタイムスリップするからです。

そしてハンナは本を読んで聞かせてとマイケルに頼み彼は「オデュッセイア」から「チャタレイ夫人の恋人」まで読み続ける。男と女が会うようになるとsexはするもののやはり何か別のことも二人で始めるように思います。どちらかが欲することに相手がつき合う形でしょうか。今ならゲームとか、ドラマとか将棋とか二人で楽しめることですね。そして楽しい時間を過ごします。ハンナは小説を読んでもらって感動して泣きます。ハンナは自分の知らない世界を本を読んでもらうことで体験しているのです。

この二人はアパートで逢引するとSEXと読み聞かせの時間を楽しむのです。

あるとき二人はサイクリングに出かけます。恋人の姿で。それが美しい景色、映像なのです。

あるときハンナはマイケルの体を隅々までていねいに洗います。全てを洗い流して自分のものにするように。

学生時代は家庭と学校しかない世界ですから、そこに愛人とのSEXの時間が入り込んだら何もかも忘れてのめり込んでしまいます。愛人が大きな存在にならざるを得ないのが学生時代です。

そんなある日マイケルが彼女のアパートを訪ねると中は空っぽでハンナも消えています。彼女は字が書けないのに真面目に勤務するので車掌から事務方に出世させると言われて電車会社を辞めざるを得なくなるのです。彼女は字が書けないことを他人に知られたくないのです。

これは伏線になっていて後半の裁判では字が書けないとは言えずに不利な証言を認めて無期懲役にされてしまいます。マイケルはそれを知っていますが彼女が字を読めないことを知られるのを嫌うことから申告を躊躇します。そして彼女は無期懲役に。

もし私がマイケルなら彼女のプライドを守りながら刑を軽くする対策を考えます。彼女に面会して字が読めないことは恥ではない、私が文字を教えるから字が書けないことを裁判でいうように説得します。恥よりも禁固刑の方が比較にならない大きなマイナスで、人生を失うと言い聞かせます。文字は私が教えると約束します。彼女が恥だという意識をなくせるかどうかは私にかかっています。愛した人を助けるためなら脚本を書いて彼女に演じさせます。恥と禁固刑を天秤にかけて釣りあう彼女の意識を変えさせます。それが愛した人を守るということだと思うからです。あらゆる問題は必ず解決策があります。だから対策を考えることの大切さを私は言いたいのです。

裁判の筆跡鑑定の時に読み聞かせていたベッドがフラッシュバックで入ります。つまりセリフではなく映像で物語っています。

彼が離婚したのはハンナとの恋しくも悲しいできことがトラウマになっていたから。1976年。弁護士になったマイケルは結婚と離婚を経験し幼い娘とも別れ再び一人で生きています。これはハンナに録音テープを送るためだったと思います。

彼はハンナへの想いという問題を抱えていましたが、彼女の傷を癒すためにテープレコーダーに思い出の本の数々の小説を吹き込み、ハンナが服役する刑務所にテープを送ります。これは二人の愛の時の再現になります。二人は相手のことだけを思っている時間ですから楽しかったと思います。

そして手紙のやり取り、ハンナはロマンス小説を送ってほしいと頼みます。そして返事を頂戴と手紙に書きます。録音テープは山ほど送られます。

刑務所に面会に行った時、ハンナとマイケルは食堂で手を重ねます。それはSEXと同じ意味。そして、ハンナは「大きくなったね坊や」と言います。感動のシーン。

マイケルとハンナは最後まで愛し合っていて、マイケルは刑期を終えたハンナのために住まいを準備、ハンナは年老いた自分をマイケルが引き取らなくていいように自殺します。お互いが愛し合っていた結果を描きます。

そして、マイケルはこの物語を娘に話す決心をして終ります。きれいな映像、まるで結婚式場のような照明で撮影されています。

この物語は年齢差のある男女の悲しい恋愛を描いていますが、女性が21歳年上という設定です。確かに同世代の男女より、親子ほど離れていた方がドラマとして描きやすいと思います。男性が女性より21歳年上という事例は沢山あると思います。私の知り合いの社長も妻に先立たれて20歳年下の女性と再婚していましたね。やたら写真を人に見せるのは困りものですが。気力と経済力がありますね。

実際このようないい目をするには男性に経済力が必要ですね。20歳若い女性と恋愛をするには相当の小遣いが必要だと思います。また、法改正で婚外子の相続配分も同じになりましたから、甲斐性のある男性はどんどん婚外子を作られることでしょう。子供が増えるのは悪いことではないですよね。ますます男性の経済力が重要になったように思います。

今までの家制度は残したまま、昔の殿様のように甲斐性のある人の家系図は婚外子が増えていきます。しかし、よく考えたら昔の殿様と同じで、庶民も殿様扱いになるということでしょうか。

男は体力、気力、経済力ですね。そして相手を飽きさせないように、世間を広く持って豊富な話題を仕入れなければなりません。「ラマン」に続く素晴らしい恋愛映画でした。

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