「ヒトラーの贋札」 監督 ステファン・ルツォヴィツキー キャスト カール・マルコヴィクス FFビデオ制作

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ヒトラーの贋札2枠.jpg国家による史上最大の贋札(がんさつ)事件と言われる、“ベルンハルト作戦”を題材にしたヒューマンドラマ。第2次世界大戦中のドイツ、ザクセンハウゼン強制収容所で、ナチスから紙幣贋造(がんぞう)を強制されたユダヤ系技術者たちの苦悩のドラマを描く。監督は『アナトミー』のステファン・ルツォヴィツキー。実際に強制収容所で贋造(がんぞう)に携わった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書が原作となっている。驚がくの歴史的事件に秘められた物語です。

この映画は、ベルンハルト作戦に強制動員されたユダヤ人印刷工アドルフ・ベルガーの証言に基づくノンフィクションです。

海岸の景色から始まります。捨てられた新聞には終戦が報じられています。カジノに入ったサロモン・ソロヴィッチは大量のドル紙幣を貸し金庫に預けゲームを始めます。そしてソロヴィッチに娼婦が近づいてきます。裸の男の体には収容所で刷り込まれた数字がありました。そして過去が走馬灯のように思い出されて物語が始まります。

このような回想でドラマを描く方法はよくある手法です。それは、そもそもドラマが過去を回想して描かれるものだからでしょう。だからみていて自然なのです。

ソロヴィッチは画家、副業は偽造の証明書作りであり、贋金作り。これもよくある話です。画家がお札の絵を描くということですね。貧乏画家が金持ちになるにはこのようなパターンがあるのかもしれません。絵を売るのではなく直接お金の絵を描く、多分発展途上国の印刷技術レベルの低い国でしょうけど。

ソロヴィチの娼婦とのベッドシーンに容赦なく踏み込んできたのはヘルツォーク。ソロヴィッチはユダヤ人で贋札製造で逮捕され収容所に送られます。収容所の所員が偶然、彼の絵の特技に気付いて肖像画を描かせます。しばらくして収容所長の知るところとなり比較的恵まれた食事にありつけます。プロ画家の一芸が身を助けるのです。

私にはどんな一芸があるのでしょう。万一の時に命を救う人にはない才能は育てておかないと。

5年後、ソロヴィッチはザクセンハウゼン強制収容所に移送、彼を逮捕したヘルツォークが少佐になりソロヴィッチを贋札作り職人に選んだのです。

最初に命じられたのはポンド紙幣づくり、何度か試行錯誤に挑みますが失敗。局面を打開したのは紙幣に使われている繊維を発見したからです。この間に、ソロヴィッチは贋札作りチームの製品検査役になっていました。彼に猛烈に反発したのがブルガー。彼は反ナチ・パンフレットを印刷して逮捕されており、贋札つくりでナチに戦争協力することに抵抗。サボタージュを繰り返してソロヴィッチとはことごとく対立します。

一方、ソロヴィッチの目的は自分だけでなく全員が生き残ることを優先します。そのためにはナチスに協力もします。戦争が終わるまで生き延びないと意味がないからです。結核になったコーリャという少年には特別の配慮して薬を手に入れます。優しさのある男です。

このような場合、確かに敵対する相手に協力しない考え方と、生き抜く法が大切だという考え方があります。両方とも正解でしょうが、良く考えるとどうなのでしょうか。場合によると思います。映画ではドル紙幣の完成をサボタージュや傷をつけたりで2週間程度遅らせます。これで戦局が変われば意味がありますが、変わらない場合は意味がありません。自己満足の域を出ません。

ナチスに協力しないのは一人の抵抗、しかし、生き抜いて反撃の機会をうかがえばさらに大きな攻撃ができるかもしれません。

深夜囚人を招集してヘルツォーク少佐は語ります。「諜報員が大量のポンド紙幣をスイスの銀行に持ち込んだ。紙幣は銀行の厳重なチェックでも見破れなかった」 「諜報員は、さらにイングランド銀行で本物の証明書を取り付けた」、「次はドル紙幣を作るんだ」

いつまでたっても完成しないドル紙幣に激怒して少佐が先ず5人を射殺すると言いだします。その場にゾロヴィッチが駆け込んできて、大量のドル紙幣を机に置きます。「本物とチェックしてください」、良くできていると処刑は中止されます。「大量生産しろ」と。

連合軍は、ザクセンハウゼン収容所にも迫ってきて砲撃も聞こえてきます。そして命じられたのは印刷機器解体と廃棄です。証拠隠滅ですがナチス・ドイツの敗北を意味していました。

「エピローグ」

ソロヴィッチの回想は終わります。彼は負けを承知で勝負に掛け続け持ち込んだ全ての金を使います。浜辺に腰掛けるソロヴィッチに、あの娼婦が声をかけてきて「不運だったわね」と声をかけます。そして、ふたりはダンスを踊ります。

そういえば映画の中でサルサを踊るシーンがありましたね。サルサのシーンはなかなかありませんから記憶に残りました。

ドイツ軍が偽造した偽札は実際には完成しなかったようです。

戦争はあらゆる作戦を考えて相手を攻撃するということが分かります。今ならサイバー攻撃でコンピューターで構築している社会基盤を破壊することでしょうね。サイバー攻撃が成功すれば軍隊も機能しなくなるのかな。政府機関は危ないかも。しかし、軍隊のシステムはインターネットにはつながっておらず、完全な軍隊だけのwanでしょうから、別途ウイルスを諜報員がインプットするのでしょうね。住宅ローンや借金を抱える軍人は5億円払うと言われれば買収される可能性はないとは言えませんからね。

ヒトラーはポスターにはあるものの実際には出てきません。あくまで収容所、贋札工場だけです。人間模様を丁寧に描いた作品でした。

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