「フルメタル・ジャケット」監督 スタンリー・キューブリック キャスト マシュー・モディーン アダム・ボールドウィン R・リー・アーメイ  FFビデオ制作

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明確に二部に分かれた構成。前半では海兵隊訓練所で新兵が受ける過酷な訓練、後半では彼らのベトナムでの行動が描かれる。

ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊志願した青年たちは、サウスカロライナ州のパリス・アイランド海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。さらに連帯責任による懲罰、訓練生の間で行われるいじめなど閉鎖的な空間で受ける社会的ストレスが次々と描かれていく。落ちこぼれだった訓練生レナード(微笑みデブ)はこれにより精神に変調をきたし、卒業前夜にハートマンを射殺し自害する。

厳しい訓練を耐え抜き一人前の海兵隊員となった彼らは、ベトナムへ送られる。テト攻勢の第一撃を受けた後、前線での取材を命じられた報道部員のジョーカーは、訓練所での同期であったカウボーイと再会し、彼の部隊に同行することとなる。ある日カウボーイたちは、情報部から敵の後退を知らされ、その確認のためにフエ市街に先遣される。しかし交戦地帯で指揮官をブービートラップで失った上に敵の狙撃を受け、部隊は混乱する。(Wikipedia

前半


訓練生は横一列に並んで坊主にされていきます。そして兵隊の外観にされます。訓練生達を戦闘マシーンに鍛え上げる為に登場するのが鬼の教官。実物の教官を連れてきて出演させているらしく役そのものです。

この鬼の教官が徹底的に新兵のプライドを踏みにじります。肉体的にかつ精神的に極限まで追いつめていきます。そうしないと命令一つで死を恐れずに突撃できないからです。「お前らは社会の屑だ、ちっぽけなプライドなんぞをもっている分だけタチが悪いこの糞虫共め!」となじり倒します。

教官「おまえは、どうしょうもない最低のクズ野郎か」 訓練生「いいえ違います」するとビンタが飛びます。教官「もう一度聞く、お前は最低のクズ野郎だな!」 訓練生「はい、その通りです」さらにビンタが飛びます。

これが特訓の実態ですね。
逃げられない状況の中で、余計なプライドを粉砕してから、兵隊として兵器として訓練していく。

地獄の特訓に於ける通過儀礼は大体どこも同じであって、望んでその集団に入れば「修行時代のしごき」と言われますが、強制的な場合は「洗脳」と分類されるようです。

太っちょの訓練生は動きが鈍く、皆と同じには訓練ができずついて行けません、それをまた教官が繰り返して鉄拳制裁していくうちに、訓練生はおかしくなって最後は教官を射殺して自分も自殺する羽目に。精神的に異常をきたすまでしごくからですね。個人差を考えないと悲劇になります。

ところで、地獄の特訓は富士の裾野とか、駅前で箱の上に立って大声で歌を歌わせられるとか、週刊誌でも取り上げられていました。

私も29歳の頃に、会社から地獄の特訓に行かされた経験があります。県内の特訓施設で一人7万円、4泊5日だったと思います。一週間同期のものが行かされました。初めは入隊の挨拶で、「第8XX期 XX研修生入ります」と命の限り大声で発生して入室。しかし、声が小さいとやり直し、顔が真っ赤になるまで、何と7回もやらされて、「おう」と承認されるのです。

そしてベッドメイキングは毛布をきちんと畳んで5ミリもずれていたらやり直し、怒鳴りまくられます。毛布のたたんだ端に定規を当ててまっすぐに端がそろっているのかチェックされるのです。教官の厳しさは映画と実によく似ていましたね。教官は体育会系で空手4段だとか猛者であることを刷り込まれます。

そして、キオツケ、ヤスメ、番号の掛け声は20回くらいやらされます。とにかく頭の中を空っぽにする洗脳ですね。食事の「いただきます」も大声、最後に10人グループで競歩のような競争をやらされて、優勝すると優勝のタオルが褒美でした。私は競歩は毎日歩いていましたから自信がありましたが、グラウンドに入ってから前の組を追い抜いてはルール違反だと思っていて抜かなかったら2位になり、何故前のチームを抜かさなかったのかと罵声をかけられましたね。私はこの日数が限界で、これ以上ここに缶詰めにされたらおかしくなりそうでした。限界の日数も考えられていたんですね。

そして、無事終わった日は最寄りの近鉄の駅までバスで送られて、駅前の居酒屋で店員がジョッキを振って誘っていました。全員が居酒屋に直行、大ジョッキで乾杯、これほどおいしいビールは二度とないと思いました。地獄から解放された喜びと5日間の断酒のせいですね。

しかし、グループ競歩で優勝したチームの人は何と、楽しかったというのです。また機会があれば行きたいと。そう、どんな環境でも適合する人種というものはいるのです。戦争も同様で狂気の世界でも自分の才覚と戦闘能力で生き延びて、戦闘が嫌いではないと言う人も出てくると思います。

終盤の休憩時間にある程度教官とも話ができるようになり、女性の地獄の特訓の様子を聞いたところ、男性よりも女性の方が一生懸命になるとのこと。命がけのようになるそうです。うまくいかないと泣きだすと聞きました。女性は目的に向かって狂ったように邁進するので怖いと言っていました。女性は追い詰めてはいけませんね。

そして、教官は福岡から飛行機で来ていたのですが、福岡から参加した研修生がまたまた帰りの飛行機に同乗していて、飛行機の中で教官を見つけるや否や起立して、「第8XX期 XX研修生であります」と大声でどなられて恥ずかしかったと言っていました。教官は仕事を離れたらやさしい人ですから。教官を見ると無意識のうちに挨拶をしてしますまで洗脳されているということですね。

後半

戦場に派遣された新兵が戦いに参加します。

戦いを繰り返すうちに仲間が一人二人と死んでいきます。ちょっとした気の緩みがあれば直ぐに死が待っています。

そしてラストではベトコンの女性の狙撃者の息の根を止めるために発砲します。

新兵は期間限定のアルバイト気分。
そして狙撃手の女も本職の軍人ではなく、娼婦の副業らしい。これは戦争が日常茶飯事でアルバイトしているということ。
原作小説のタイトルが『ショート・タイマーズ(短期現役兵)』であることからわかるように、戦争はお互いにアルバイトでやっているほど身近な仕事らしい。 それが狂気の世界だと言っています。

狂気に侵されていく兵士たち、戦争の厳しさが伝わります。それを生き抜かないと帰還できないのですから。

問題は、そのように多くのアメリカの若者を投入したベトナム戦争は結局負けてしまいました。その後のイラク戦争、アメリカは石油の利権を求めてその理由付けを画策して戦争を始めると言う話も聞きます。webの911疑惑が物語ります。

軍事産業が多額の国税を収め、そして政治家に献金するアメリカの民主主義はプラスの面とともにマイナスの面もあることを感じます。そこで死んでいく若者たちの無念、両親の無念さが伝わってくる映画でした。敵と殺しあう前線の兵士たちと、戦争を始めるために画策する人の間には恐らく何も関係がないのでしょうね。軍隊を使った金儲けのようですから。

命令されたら行くしかありませんが、何のために命をささげたのか。観客に課題を投げかけて、戦争の深い意味について考えるように促していると思います。

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