「台北の朝、僕は恋をする」 監督 アーヴィン・チェン ジャック・ヤオ アンバー・クォ  FFビデオ制作

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台北の朝1枠.jpg

脚本

主人公は彼女がフランスに行くタクシーを見送る。彼女に会いにフランスに行きたい。そのためにフランス語を勉強するために書店に通う、そこでスージーとめ ぐり合う。フランスへの渡航費用がないためにやくざから借金するが、やくざは今回のブツの取引を最後に彼女と海南島でのんびり生活したいと考えている。こ のためにカイはブツの運び屋にされる。その骨組で物語が進む。

http://www.youtube.com/watch?v=fj_6kqjVNh8

映画分析感想

少し脳味噌か足らないやくざたちのコメディ。

不動産屋のやくざから金を借りるカイ。カイはお粗末な男。

公園のダンスの中に紛れ込んで掲示を巻く。いったんは二人を見つけてピントが合う。しかし、刑事はその先に元彼女が男と歩いている姿を見つけて追跡する。公務よりも私事を優先するおかしさ。人間の弱みを表現。

全体に照明かを使った明るい画面でカラーの発色がいい美しい映像になっています。CANONの色と言えば分かりやすいでしょうか。

年を重ねていい思い出と語るやくざの不動産屋パオの恋物語を下敷きに。

メインとして主人公カイと書店のスージーの恋物語。

それに絡めてコンビニ店員のカオの職場の恋物語。

更に恋の終わりを表現する刑事の同棲相手に逃げられる恋の終わり。

の4つの物語があり、3つの恋物語は主人公カイトスージーの恋に至る過程を彩る。

この映画の男たちは全員少し脳味噌が足らない感じのコメディタッチ。

まともなはやくざの不動産屋だけ。ブツの運搬にも偽物の囮を使う頭の良さ。

そして台北の特徴として食文化をモチーフにしている。

脚本は3つの恋物語の積み上げ、ビジュアルデザインは書店のカラー背景を恋の舞台にした美しいカラーデザイン、照明もいい。撮影アングルも工夫しているし、編集で3つの恋物語を同時並行して進めている。音響効果のBGMも自然に入っている。

光(明、暗)とカラーリングで映画に登場する人物の心情を見事に描いた芸術的完成度の高い作品で素晴らしい。

監督の作り込みチェックリスト台北の朝、僕は恋をする 監督: アーヴィン・チェン

区分

NO

項目

内容

脚本

1

タイトル

台北の朝 僕は恋をする

2

主題

(何についての映画か、問題、主張する思想内容)

恋愛

3

テーマ

(主題についての考え方、メッセージ、見解)

恋愛の始まりと恋愛中と恋愛の終わり

3.5

脚本

直線時系列構造。

4

場所

台北

5

時代

2011年

6

季節

冬場 長袖

7

期間

数か月

8

モチーフ

(反復で表す)

コソ泥が趣味、くじを盗む、ヤクを盗もうとする。

恋をすることはいいことだ。

連れ込みホテルの受付のおばさんも恋愛TV番組を見ている。

台北の食文化を水餃子などで表現。食文化の存在を映画のモチーフにしている。「美味いな」の台詞。

やくざの若い頃の写真。

9

隠喩

(別のもので意味を伝える)

やくざの恋の話。やくざのパオはテレビでやくざ者の番組を見ている。

 

 

ビジュアルデザイン

10

照明

(キーライト、フィルライト、バックライト)

台湾の美しい夜景から入っていく。初めは引きの映像、次に車とバイクの走る夜のライトが浮かぶ映像。ネオンと人の動きが浮くしい。被写界深度は浅く背景のネオンはぼける。

初めにフランスにいく彼女を見送るシーン、彼女の顔は明るくて未練なく、男性は未練たっぷり顔の半分に影の演出。

カイの部屋の窓の外のカラーリングそれぞれ変えてあり美しい。カラオケスナックも赤中心で発色がよい。カイの家の食堂の発色もいい。

台湾の下町の映像はカラフルな提灯がいつも配置されていて夜のシーンを演出している。

カイが自分の部屋からフランスの彼女に電話するシーンの窓の色はすべて違うことで会いたいが会えない彼の混沌とした心情を表現。

フランスの彼女が電話に出ない時のカイの部屋の窓の明るさは暗く、カイの心情を演出。

宝くじ屋を襲う時のチンピラの顔には悪事をしている暗い影がある。

チンピラ達の車の中もカラーリングされていて美しい。

チンピラに強奪されたおばさんの横顔は影になり暗く沈んでいる演出。

やくざが宝くじ屋の事件はお前だなと問いただしているシーン、やくざの顔に影があり困った奴だという心情演出。しかしチンピラの甥は顔が少し斜めで話を聞いており、聞き流していることを演出。

やくざが荷物の運び屋をカイに依頼している時、後ろめたさからやくざの顔半分に影の演出。カイは何も知らないから顔に影はない。

フランスに行く時のカイとスージーは黒い姿になる。二人の心情を演出。

コンビニの店内の映像も明るくて商品のカラーは配色が良く発色もいい。書店のように美しい映像。恋が始まる予感。バイクのシーンも美しい。

フランスの彼女について聞くとカイの顔に影。連絡がついていない演出。その上僕が行くのを知らないと言った時も顔に影。やくざのパオからブツはあるかと言われて、あると嘘を言うカイの顔の半分に影の演出。

スージーは朝自分の部屋に戻るが、窓は朝日で明るいが彼女の姿は黒いシルエットで辛い気持を演出。顔も映さない。

刑事二人の夜の張り込みの映像はネオンが顔が明るく青色に照らされる。他のシーンがカラーなのでモノクロ風が印象的。

チンピラが叔父のブツを横取りする指示をするシーン、指示するチンピラの顔半分に後ろめたい影を演出。

チンピラがパオの部屋で電話に出てカイからの電話を居留守を使って断るシーンは嘘をついているためチンピラの顔は黒い影で覆われている。

刑事の元彼女のアベックは暗い路地に入っていくし、家の間腕も顔が暗い、疑わしい男女の仲の演出。

夜の公園も道路の照明が配慮されていて公園の緑いろが美しい。

そしてまた本屋で働くスージーの背景の本棚はカラフルで発色がいい。

深夜自宅の食堂にスージーを連れていた時、黒画しばらくしてここはどこ? そしてシャッターを開けて店の映像に。黒画面の使い方がいい。

フランスへ行かなかったカイが書店に来てスージーに声をかける。スージーは知らん顔、カイは追いかけるがスージーの横顔は微笑んでいる。顔も微笑む。ここで二人の気持ちがつながった演出。

 

11

色使い

(コントラスト、配色)

全体に明るくて発色がよい美しい映像。発色を高めるために相当の工夫あり。

書店のスージーが出ているシーンは本棚の本のカラーリングが素晴らしい。配色が美しく工夫。ラストでカイとスージーが明るくて発色のいいダンススタジオで笑顔で踊るシーン。二人の幸せをカラーで演出。

不動産屋のチンピラはオレンジ色の制服、友達のコンビニ店員は黄緑色の制服でキャストをカラーで分けてその立場を明確にしている。

 

家出した彼女の新しい家の門のドアは真っ赤な色に塗られている。怒りの演出か?

 

フランスに行かずに書店に戻ったカイの服装は、書店の本棚に合わせたカーの服装に変わっている。心情が彼女に移ったことを演出。

 

この映画はヒロインのスージー役(アンバー・クォ)のための作品。彼女が登場する書店の本棚の発色のよさときたら最高で彼女をキラキラ輝かせている。

12

主役の色

(どのように目立たせているか)

背景のカラーの発色がいい分キャストの服装は地味。それが背景と対比して良く引き立つ。

13

カラー白黒

美しいカラー。

撮影

14

フレーム

(スタンダードサイズ、ワイドスクリーン、シネスコープ)

タクシーでフランスへ行くためにタクシーに乗るシーン。書店員のスージーの姿は小さく、カイノ顔には影があり複雑な心境を演出。

15

配置

不動産屋のチンピラ三人はいつもまとまっている。

16

オフスクリーン

(スクリーンの外を描く)

17

カメラワーク

(ロング、フル、ミディアム、ウエスト、クローズアップ、超クローズアップ)

カイの生活は毎日同じ繰り返しで、食堂の手伝いとバイクで家に帰る、自室に戻るが二回繰り返され、単調な日々を演出。

真心不動産のチンピラはオレンジ色の制服のままで窃盗を働く馬鹿ぶり。

 

街の人ゴミも美しい。一度真上からの俯瞰ショットがあり印象的。

美しい書店の背景は手前に本棚を置いて奥行きを出している。そこに主人公とヒロインの出会いの場が作られている。二人の先を予見させるカラーリングの舞台設定。

18

アングル

刑事はダンスの輪の中に逃げ込んだ二人をいったん認識する時に二人にピントが合う。しかしその先に元彼女がいてそちらに気が行ってしまう。

夜の街の引きの映像はZ軸を意識したアングルで奥行きを感じる。

台湾の本屋では座り読みらしい。日本なら立ち読みなのに。

本屋でヒロインは毎回右側から画面に登場することでカイの存在よりも強調している。

刑事の彼女が食事を作って出したのに刑事が食べずに出で行くシーン、引きのアングルで左手前のテーブルの料理、出かける刑事、キッチンの彼女が配置されていて彼が出かけた後しばらく料理と彼女の横顔の映像が残り彼女が家を出ていく原因を演出。

書店のアングルはスージーは仰角、カイは観下げるアングルで心情を演出。

ラストはカイがスージーとスージーの習い事のダンスを一緒にするシーン、カイが彼女の心の中の世界に入っていったことを演出。

19

主観ショット

(本人目線)

刑事が家に戻ったら歯ブラシが自分のものだけになっていて彼女が出ていったことを演出。

追跡者のカット。

20

スローモーション

ラストで書店に戻ったカイとスージーが顔を見合わせて歩きながら笑顔になるシーンはスローモーションで印象を強めている。

編集

21

スーパーインポーズ

(別の映像を重ねる)

22

リアクションシカット

(加害者、被害者)

23

ディテールカット

(目や手)

24

カットアウエイ

(別のカットを挟む)

やくざの恋物語の上にカイとスージーのメインの書店を舞台にした恋物語、その間にコンビニの恋物語、そして恋の終わりの刑事の物語を挟んでいる。

25

カットバック

(全く別の状況に交互に切り替える)

 

26

モンタージュ

(裏の人格を見せるなど)

 

27

カラコレ

照明効果が出るようにしている。

音響効果

28

効果音

不動屋さんのオレンジスーツの馬鹿チンピラが悪さをしに現れるとBGMが入る。

空港に向かったカイを見送った後の朝日のシーンはゆったりとしたBGMに。

警察が来て闇販売業者が店をたたんで急いで逃げるシーンはドラムのBGM。

フランス行きを決めてから胡弓の美しい音色がBGMに使用されて明るい気持ちを演出。

刑事が家に帰ると彼女が家出しており、切ない胡弓のBGMで心情演出。。

追跡シーンはギターと胡弓のアップテンポBGM。

アクションシーンはドラムのBGM。

29

沈黙

 

30

モンタージュ

(音と音、並列繋ぎ、対比繋ぎ)

 

31

サウンドミックス

(音の重ね方)

32

モチーフ

(同じ音の繰り返し)

カラオケの歌の歌詞内容とやくざの恋物語の内容がつながっている。

チンピラの登場はチンピラのBGMが使われていてまた来たなとよくわかる。

感想

33

 

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