「あの頃ペニー・レインと」 監督 キャメロン・クロウ  キャスト パトリック・フュジット  ケイト・ハドソン  FFビデオ制作

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このような素晴らしい作品を一度しか見ない観客にその醍醐味を味わってもらうにはどうすればいいのでしょう。一回目は従来通り自分流で映画を見る。縁あってブログを読んで気に入ったなら監督が埋め込んだ宝物を見つけるためにもう一度見て味わいつくす。三回見ると宝物が身体の中に入ってきて自分のものになると思います。

http://www.youtube.com/watch?v=qgdp1I7xklU

http://www.youtube.com/watch?v=_qW9wqUI4Lg

脚本

キャメロン・クロウ監督が自身の体験を基に、ブレイク寸前のロックバンドのツアーの同行取材をした15歳 の少年の姿を描いた青春音楽ムービー。15歳の少年ウィリアムは伝 説的なロック・ライターに自分の記事が気に入られ、ローリングストーン誌の仕事をもらう。そして、グルーピーの中にいたペニー・レインに一目惚れする。

映画分析感想

前段は本編とは直接関係しない前振りでサーフィンのカットの続きで9月のクリスマス飾り、将来の目標などに触れている。

母親はどうして娘がキスして帰ったのが分かったのか?

反抗する娘は母親に向かって知識の押し売りはやめてという。

母親は知的な人生を送るために子供を厳しくしつけているが、どこの親も同じ気持ち。

この映画は台詞が膨大(1300位)で、その中に宝物が仕込まれている。

以下お気に入りの台詞

小学校は無駄が多いから飛び級したの。

人と同じでなくていい、大事なのは個性よ、余った2年を自由に使えるわ。

本物の音楽は音楽が人を選ぶんだ。車の中やヘッドホンで聞くと雄大な風景が広がって天使の合唱が響く。→芸術。

君の文章は光っているが、ロックの全盛期は過ぎた。お終いさ。ロックは断末魔を迎えて喘いでいる。→映画に置き換えられる。

行き詰ったら電話してこい、夜中でもいい。→素晴らしい天才ロックライターの言葉

顔のいい男は根性無しでその芸術も長続きしない。だが俺達には頭脳がある。→言える。

偉大な芸術は罪悪感やあこがれから生まれ、セックスや愛が絡み合っている。→映画そのもの

行き詰った時は心を分かち合う友達を持て、本当の友達なら正直になれ、そして手厳しく。

グルーピーはロックスターと寝るだけ。私たちは音楽を愛してバンドを助ける支援グループなの。彼らとは寝ないわ。フェラだけよ。→グルーピーと同じ。

歳は?とペニーがウイリアムに聞くと18歳、するとペニーは私もよと言う。17歳と言うとまた私もよと言う。16歳と言い直すとまた私もよと合わせる。ペニーとウイリアムが友達になった演出。

音楽で大事なのはハイな快感が聞き手に伝わるかどうかだ。ゾクゾク感だ。→映画に置き換えられる。

俺の興味は本物だけだ。本物の人間、本物の感情それがすべてさ。おまえは本物だ。

飛行機が雷雨で操縦できなくなり緊急着陸を決意したとき、バンドメンバーが秘密を吐露する。ひき逃げをしていたマネジャー、浮気をしていたラッセルの彼女、ギャラをくすねたこと、マーナと寝たこと。仲間割れ、どっち道死ぬんだ、ラッセルはペニーと寝まくった。俺はゲイだ。しかしその後奇跡的に雷雲を抜けて、飛行機は無事着陸。その後の気まずさはよく描けていた。

ストーン紙の表紙に載ったらママに5部買おうという。→親孝行なんだ。

ペニーはウイリアムだけに本名を明かすが、ラッセルには明かさない。ウイリアムとのつながりを演出。

馬鹿げた音楽やバンドを愛するってことは、自分もずたずたに傷つくってことよ。→教育映画みたい。

家出した姉がスチワーデスの仕事を休んでウイリアムと世界中のどこへでも好きなところに行こうと言って、自宅のママのところに帰ってくる。→実は家が一番行きたいところと言う演出、家族愛。

ラストシーンは関係者全員がハッピーエンド。ラッセルたちのバンドはスター街道を歩み、ウイリアム一家は姉が家に戻り母と三人で楽しい食事風景、ペニーは黒のワンピースで変身してモロッコへ旅立つ。ウイリアムのバンド同行記事はラッセルが内容が真実だと伝えて採用されて雑誌の表紙を飾り、大きく掲載される。

キャストを丁寧に描いていて、人生の大切なことをロックバンドの同行取材を通して見せる映画で素晴らしい。

 

監督の作り込みチェックリスト 監督キャメロン・クロウ

区分

NO

項目

内容

脚本

1

タイトル

あの頃ペニー・レインと

邦題が素晴らしい。

冒頭手書きの映像でテロップを書いていてサクサクという音がいい。

2

主題

(何についての映画か、問題、主張する思想内容)

青春音楽ムービー

3

テーマ

(主題についての考え方、メッセージ、見解)

バンドの同行取材を通して人生を語る

3.5

脚本

直線構造

葛藤

楽屋に入れてもらえず3回追い返される。

バンドがTシャツのデザインが原因で仲間割れするとき。

ライブの感電事故でバンドがゲートを突破するとき。

童貞狩りの被害に会う時。

ラッセルがLSDをやって屋根からプールに飛び降りようとするとき。

ペニーレインが睡眠薬過剰摂取で死にかけて助ける時。

飛行機が雷雨の中に入って緊急着陸すると言われた時。

 

味方

クリームマガジンのレスターバングスと出会い、サポートしてもらえることになる。人生訓を教えてくれ、記事が書けないときに電話で相談に乗ってくれて窮地を脱していく。

敵役

母親、バンド、ローリングストーン誌

4

場所

アメリカ

5

時代

1973年

6

季節

9月

7

期間

足掛け2年間

8

モチーフ

(反復で表す)

ロックは麻薬やセックスの歌よ。2回

麻薬はだめ。3回

評論家で成功したければ、正直に、手厳しく書け。2回

天敵。5回

私の秘密を握られた。一番言うべきでない相手にばらしちまった。ペニー、ラッセル、ウイリアムの三人の秘密。3回

冒頭、ペニーがウイリアムの顔の髪をどけて額を指で押して顔つきを変えてこの方がいいよと言う。後半ペニーが睡眠薬からよみがえり、今度はウイリアムがペニーの額に指を当てて髪を横にどけてこの方がいいよと言う。二人の心情を演出。

スチュワーデス

家出した姉はスッチーになる。ペニーレインはスッチーのまねをして機内アナウンスをやる。ペニーが睡眠薬を飲んだ時もスッチーのまねをしろと言う。ウイリアムとの別れで機内アナウンスが流れる。監督はスッチー好き。

モロッコ

ペニーはモロッコに一年住みたいと言う。ウイリアムも一緒に行くという。途中でモロッコの話が出てきて全く違う服を着て別人になるの、ラストでペニーが別人の服装でモロッコ行のチケットを買うシーン。→伏線が敷かれている。

 

ペニーとウイリアムは同じ街に住んでいるんだから。2回

 

母親がラッセルに言う、まともな人間になれるわ。2回

 

9

隠喩

(別のもので意味を伝える)

バスの正面の行き先に、「もう飛行機には乗らないツアー74」飛行機で命を落としかけたため。

ビジュアルデザイン

10

照明

(キーライト、フィルライト、バックライト)

 

11

色使い

(コントラスト、配色)

全体として美しい。

12

主役の色

(どのように目立たせているか)

大人の男性の中で一人子供の姿。

13

カラー白黒

カラー

撮影

14

フレーム

(スタンダードサイズ、ワイドスクリーン、シネスコープ)

ワイドスクリーン。

15

配置

いつもバラバラに配置、気持ちがまとまっていない演出。

メンバーのまとまりは全員が歌うことで表現。

16

オフスクリーン

(スクリーンの外を描く)

17

カメラワーク

(ロング、フル、ミディアム、ウエスト、クローズアップ、超クローズアップ)

ツアーバスを捨てて、飛行機に切り変える時、飛行場に大型バスを止めてその上空を飛行機が飛び去るシーンで、移動手段が変わったことを演出。

ホテルの受付係が母親に怒鳴られたよと言うシーン。受付係の怒った顔がクローズアップ。

空のバスタブでウイリアムが取材メモを書いているとき、散らかったメモがクローズアップ。

 

18

アングル

NYでラッセルと彼女を大きくとらえて、遠くにペニーをとらえている。ラッセルのペニーへの意識がペニーへのピントで演出、三角関係を表現。

19

主観ショット

(本人目線)

 

20

スローモーション

 

編集

21

スーパーインポーズ

(別の映像を重ねる)

ウイリアムが11歳の時に姉が家出してベッドの下から置き土産のロックのレコードを取り出す。

蝋燭の灯をともしてロックを聴くと未来が見えると言われて実行するが、回転するレコードの映像と蝋燭の明かりに照らされるウイリアムの映像が重ねられて、そのあと15才後の映像にワープする。つまり未来を見に行くという映像切り替えになっている。

22

リアクションシカット

(加害者、被害者)

23

ディテールカット

(目や手) ウイリアムが童貞狩りにあうシーン、ペニーの両目の超クローズアップ、ウイリアムの両目の超クローズアップが三回繰り返される。三回目のウイリアムの眼には飛びはねてウイリアムの周りを回る女の子が映っている。

そしてペニーがバイバイのしぐさをしてウイリアムは童貞と別れを告げる。

24

カットアウエイ

(別のカットを挟む)

25

カットバック

(全く別の状況に交互に切り替える)

何故二人の子供を遠くへ手放したのかしら、手元に置いておけばよかったと語るシーンで母親とツアーに同行しているウイリアムの映像のカットバック。

ラッセルが母親と電話していて、天才批評家の母親ってどんな気持ちだい?と言うシーンでラッセルと母親の顔がカットバック。

26

モンタージュ

(裏の人格を見せるなど)

 

27

カラコレ

 

音響効果

28

効果音

バンドのメンバーが喧嘩してバラバラのままバスツアーを続けるが、途中で歌を歌い始め、しばらくして全員が歌に加わり気持ちが一つになったことを演出。

ロックが効果的にBGMとして使われている。

 

29

沈黙

ツアーのプライベートジェットが雷雨で墜落しそうになった時、皆が今まで隠していた秘密を吐露したが、奇跡的に雷雨を無事に抜けたあと、秘密を話した後ろめたさからの沈黙。

飛行機を降りて長い空港の通路を歩く時、後ろめたさからみんな長い沈黙。

 

ラッセルがペニーの住所を聞いて自宅に会いに行った時、様子がおかしくて、写真盾を見たらウイリアムの写真。騙されたと気付いた時に長い沈黙。

30

モンタージュ

(音と音、並列繋ぎ、対比繋ぎ)

 

31

サウンドミックス

(音の重ね方)台詞の重ね方

ラッセルの彼女がペニーを見て、あの女誰よ、ムカつくと言うと、そこにいた全員の男たちが「おれの女」だと声をそろえて言う。

32

モチーフ

(同じ音の繰り返し)

 

感想

33

 

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