東京アクアティクスセンター取材の帰りに辰巳からバスに乗りました。バス停の時刻表はこんな感じで毎時間2本のバスが運行されていて、これなら住民の足となることができると感じました。
公共交通の重要性は三重県に住んでいると気づきませんが、東京に住むとその大きなメリットがよく分かります。東京は生涯公共交通で過ごしますから毎日よく歩きます。多分2キロ以上。だからシニアも足が元気なのです。免許証の返上も関係ありませんのでのんびり生活できます。
地方県の百貨店がどんどんつぶれていくのは公共交通が発達していないからだと分かりますか? 多分分かりませんよね。百貨店は地方の文化発信地なのでつぶれたら困ります。
私は地方が構造的に衰退していき、東京だけが栄えていくのは公共交通完備がキーになっているからだと考えています。可処分所得額が全く違う生活環境なのです。方や可処分所得が潤沢で世界一の食文化が花開き、方や可処分所得が少なくて百貨店が維持できない。よく考えればわかると思います。町興しするなら公共交通完備に取り組まないと。
私は三重県と都内の両方に住んでいますのでそれぞれの良さや問題点がよく分かります。三重県の場合、もし、私が県知事になって三重県を変えようとしても東京に10年以上住んだことのない議員さんたちがこぞって反対するので何も進まないでしょうね。誰かが先頭に立って地域を変えようとする場合、変えた後の地区に住んだ経験がないと改革提案の内容やメリットが理解されないのでつぶされることが目に見えています。今まで取り組んできたことがほとんど否定されるのですから無理もありません。人は見たことのないものは発想として浮かばない、信じられないので仕方ないことと言われています。
つまり、私が三重県を東京のノウハウを使って住みやすく変えようとすることは、無理だということになります。
それでも何とか変えたいのなら、こんな方法があります。
1.東京都に編入してもらい、都庁企画部の職員に三重県の構造改革案を提案してもらう。都庁の職員や都内の会社員はほとんど全員公共交通通勤。
2.東京都と姉妹都市契約を結んで、都庁企画部の人を半分以上入れて三重県の構造改革案を作る。
とにかく、あるべき姿の都市である東京都企画部の知恵を借りるということです。
三重県の場合は、小学校、中学校、高校と先生はほとんど全員自動車通勤ですから、子供たちは自動車を使う生活があるべき姿だと植え付けられています。そして子供が社会人になって会社員、県職員や教員になるのですから、自動車はあるべき生活の姿なのですと仕事や教育に植え付けていきます。それが自動車産業を支え、日本の経済を支えているのですから正義なのです。その繰り返しの中、若者たちは何かを感じて県外に出ていくようになったという声もあります。
そうです、東京の公共交通があるべき姿と三重県の自動車があるべき姿は全く違います。真逆です。県政のすべての発想の相違点がここにあるという事をまず自覚していただくことからでしょうか。
まあ、都内に住んでみないと分からないので仕方ないのだと思います。誰が悪いのでもありません。県民全員の意志で県政が動きますから、県民の半分以上が都内に10年住んだ経験がないと改革は無理だということに。
しかし、中国のような独裁政治体制であれば県民の半数の賛成が必要という民主主義の限界をすぐに取り除いてあるべき姿に変えることができます。この壁は民主主義の壁ですから県民半数以上の賛成がないと崩せないのです。民主主義は長所だけではなくそれと同じくらい大きな短所もあるという事かもしれません。だから「民主主義の限界」を感じるのです。
東京と地方の格差という意見もありますが、転居の自由が保障されている日本では格差や不公平ではなく転居すればいいだけと言われます。地方の田んぼも山も金を生まない時代、守るものもなくなり長男長女も家から解放されます。民主主義の限界がある以上如何ともしがたい生活環境ですが、生活の楽な公共交通完備の地域へ転居という道があるので救われるとも言えます。だから若者たちは本能的にその違いを感じ取って東京に出てくるのかもしれません。
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