木香歩のロングセラー小説を映画化した、祖母と孫のひと夏の暮らしを描いたファンタジー。西の魔女ことイギリス人のおばあちゃんを大女優シャーリー・マクレーンの娘のサチ・パーカーが演じ、ともに過ごす少女に新人の高橋真悠がふんし、豊かな自然の中で心温まる交流をはぐくんでいく。
日々の生活を丁寧に描いています。台詞に合わせたカットバック、魔女になる修行と称して登校拒否の孫に日常生活に必要な仕事をして見せて、次に手伝わせて、任せて身につけさせていく。そして上手だね、センスあるねと褒める。
孫の心がだんだん開いてくる様子が手に取るように分かります。
魔女になる基礎トレーニングいう子どもにとって魅力的な誘いの言葉がいいですね。孫は一日のスケジュール表を作り計画的な生活が送れるようになっていきます。押しつけではなく魔女になる楽しい修行として。この企画が最高にいいと思います。
この映画はサラリーマン時代に見ていたら、深くは考えなかったかもしれません。忙しくて家でも仕事のこと考えないと回っていかないのが給料を取るサラリーマンですから。定年になって時間の余裕ができてじっくり考えることができるようになると映画の味わいも変わります。
深く考えて何を伝えているのか探る時間ができます。時間の余裕があるから優雅な魔女のおばあさんの生活ができると思います。日常生活の一つ一つを大切に行えます。お茶の時間にゆっくり会話したり、悩んだり、考えたり、きっとこの時間的余裕が人生の素晴らしさを体験させてくれる基本的条件なんでしょうね。
そして、物事の正しい方向を見ることと、自分で決めて行動することが大切だと教えます。大切な人生訓ですね。この混迷する現代において正しい方向を見据えて自分で判断していくことは自らに言い聞かせたくなります。
人は死んだらどうなるの? 分かりません、死んだことないから。
焦ってはいけない、時間のかかることもあるのだから。
ラストでガラスにメッセージを残して死んでいく魔女のお婆ちゃん。
ストレスに晒されて悩んでいる子供にどう接してやるべきかを教えてくれるすばらしい作品でした。
感謝。
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